フ ォ ー ル ・ イ ン ・ ホ ー ル



注!! 暴力描写・18禁前後の描写あり。ゲス雄。


 自販機を投げる。
 臨也の身体が簡単に吹っ飛ぶ。
 気を失った臨也を抱き上げる。
 ノミ蟲に相応しい中身の薄っぺらな軽い身体だ。ひょいっと俵を持つように肩に担ぎあげて、自宅まで運んだ。
 ベッドに投げおろすと安いスプリングがギシっと悲鳴を上げる。ついでに臨也も小さく呻いて目を覚ました。一瞬ぼんやりとして、すぐにハッと身体を起こす。
 ベッドに座り込んだまま手をついて、ぎろりと睨み上げる目に鼻で笑った。以前に比べて、こいつの余裕が減ってきているのが面白い。
「またやったの、ゲスめ」
「まだヤッてねえよ、クソが」
 そう、臨也の言うとおり「また」である。
 俺はこれを毎回のように繰り返している。臨也を見つけ、気づかれるより先に手近にあるものをぶつけて、気絶した身体を持ち帰る。そのあとは、俺の気分次第だ。
 殺し合っていたころの臨也はあんなにも鬱陶しくて厄介なクソ野郎でしかなかったというのに、殺すのをやめてただ捕まえるためだけに力を尽くせば、ノミ蟲は本当にノミのように簡単に捕まえることができた。
 不意打ちの一撃、それだけあればいいのだ。卑怯だ、と奴が叫んだこともあったが、そう言ったノミ蟲は普段、もっと卑怯な手を使う奴だったので、俺などは可愛いほうだろうと思う。
 最後にシたのはいつだったか。一週間くらい前か。やっべえな、タマってやがる。
 逃げを打とうとした身体を捕まえて、腕を背中で捻り上げながらうつ伏せに押し倒した。これも毎度のことだ。
「…ねえ、外道って言葉知ってる?」
「手前のことだろ」
「君のことだよ、外道化け物め」
 唇は辛うじて笑みの形に歪めていたが血の気が失せている。真っ白になった頬に触れたら、冷たかった。
 暴れようとするので、少し力を込めて牽制する。臨也はギリとシーツを噛んで黙り込んだ。まだまだ可愛げはないが、これでもだいぶ大人しくなったほうだ。
「逃げんじゃねーよ。おら、足開け」
 腰を持ち上げて尻を突き出させると、足の間にこちらの足を差し入れて、ぐいっと開いた。コートすら脱がせていないが、ぴったりとしたズボンは尻のラインをくっきり浮かび上がらせて、俺は逸る気持ちを抑えられない。
 その裾をまくりあげて、肉付きの薄い丸みを掌で撫でる。
 いつもだったら、ズボンを引きずり落とすのだが、今日はそれすらも面倒くさくて、だいたい割れ目がこの辺かと見定めた場所に指を突き立てた。ちょっと力を入れるだけで、硬めの布地はブチンという音とともに、いとも簡単に下着を貫通して穴が空き、指が潜り込んだ。
 臨也は背後から聞こえる音に、ビクンと肩を撥ねさせた。恐る恐る振り返り、しかし気丈に叫ぶ。
「な、に…? なにやってんだよ…っ!?」
「穴出してんだよ。一週間分たまってんだ。とりあえず一発やらせろ」
 赤いんだか蒼いんだかわからない顔が、怒りの形相で睨みつけてきた。しかし同時に悔しそうでもあり、泣きそうでもあり、なによりいつもの余裕が全部おっこちて、焦りと恐怖が支配しているのがわかる。
 そういうところはかわいいな、と思う。この俺が。ノミ蟲に対して、だ。そう思えるだけ、俺は臨也に寛容になったのだ。褒めてほしい。
「とりあえずってなに! っていうか、先週にシたばっかじゃん。オナニー覚えた猿じゃないんだから自重しろよ!」
「ああ? この俺が一週間も我慢してやったんだ。ありがとうございますって言えよ、身の程分かってねえな」
 いつも繰り返しているのに、何を信じられないような顔をするのか。
 俺はこのノミ蟲のことがノミ以上に大嫌いで、毎日毎日殺してやりたいと願い続けてきた。一分一秒だって、こいつへの殺意を忘れたことはない。
 その殺意が性欲へと変質したのだから、毎日毎日毎分毎秒ヤらねば気が済まないのは当然なのだ。
 臨也の揺れる腰を押さえながら、指を一本ねじ込んだ小さな穴にもう一本指を挿し入れて穴を広げる。ちょうどズボンの中心から糸がほつれて、みちみちと布が破れていく音に、臨也の顔面は蒼白になった。
 あ、こいつ帰りはどうするんだろう。…まあ金だけはある奴だから、どうにかなるだろう。…帰すのか……いやだな、と思った。
 ズボンの穴は指が入る程度なので、奥にある肝心の臨也の穴が見えない。探るように指をぐりぐりと動かして、それっぽい窪みに当たった。
「ひぅ」
 間抜けな声だ。
 入口の皺に指先が当たるだけで、きゅうっと収縮するのが分かった。
「おーおー、もうひくついてやがる。手前、腸液こぼせよ。濡れねえとやりにくい」
「ふざ、け……あっ」
 ビリと音を立ててズボンの穴が拳大ほどにまで広がると隙間から肌が覗いて、きゅっと尻朶に力がこもるのがわかった。ん、これなら動かせる。
 その手で以前に臨也が置いていったローションをベッド横の棚から取って、周囲や服が汚れるのも気にせずにぶっかけてやった。このぬるぬる感がちょっと面白くて、思う存分振りかける。ローションは臨也が買ってくるので、節約や遠慮はいらない。
 ローションがなきゃないで、そのままツッコめばいいだけの話だから、買ってくるのは臨也の意思だ。
 ということは、これは合意の上の行為だというのに、未だに「レイプされています」と言わんばかりの顔をするのが気にくわない。
 しかし、何度殴っても捕まえても不敵に厭らしく笑う、殺したいほどに忌々しいあの顔が、死にそうなほどに――否、死んだほうがましだと思っているように悔しげに、苦しげに歪むのは、酷く心地が良かった。
 ぬるぬるになった指で先ほど探った臨也の穴の周りをなでると、それだけで臨也の身体がふるりと震えた。その間に空いた片手で、窮屈になった己の下半身を解放する。このままだと痛いほどに勃起した俺のものが、ズボンのファスナーを壊しかねない。
 ア、とぱっくり開いた唇が、躊躇いがちに俺の名前を呼んだ。いいから啼いてろってのに。
「シズちゃ、ん…口で、口でするから…今日はやめよ、うよ…」
 何で譲歩してやっている、みたいな言い方になってんだこいつは。
「あ? なんでだよ、こっちのが気持ちいいだろ」
 臨也が盛大に舌打ちをした。実に可愛げのない口である。こんなところに俺のをツッコんだりなんかしたら、噛みちぎられるに決まっていた。
「ッ、君はそうだろうね、でも俺は痛いんだよ! 先週、どっかの誰かさんが、ローションもなしにツッこんでくれたおかげで、こっちは地獄を見たの。まだ治りきってないの。どこがとか皆まで言わせんなよ?」
「なんだ手前、痔なのか」
「言うなっつってんだろ!! 死ねよ、マジで死ね!」
 そういや先週は、家に連れ込む前に外でヤッたので、ローションも使わずに突っ込んだのだった。多分切れるだろうとは思っていたが、ローションを持ち歩くような変態的な趣味はないので、ローションがないのはしかたがなかった。代わりに財布に入れていたゴムをつけてやったので、感謝してくれてもいいと思う。
 代わりに、家に運びこんでからは、存分に中に出してやった。
 そのときにも散々文句を垂れていたが、一週間も前の話をまだ根に持たれても困る。
 そうか、やっぱり切れてたか。
 やけに痛がってはいたが、そこを見ようとすると物凄い剣幕で怒鳴られて、結局マジマジと見ることができなかったのだ。
「まだ痛むか」
「は…? まだちょっと痛むこともあっ、ひっ!」
 臨也に尋ねておきながら、臨也の答えなどまるで聞く気はなく、取り出した自身を布の穴へ差し込んだ。雁の部分でぬるんと尻の割れ目をなぞると、臨也が悲鳴を上げる。信じられないという顔でこちらを見て、いやだと呟く声は恐怖にか震えていた。
「や、シズちゃ…慣らし、て」
 口ですると言っていたくせに、あっという間に妥協点が下がっている。
「ローション使ってやっただろ」
「嘘、いや、あ…」
 穴が見えないのでやりにくい。ぐいぐいと押したり引いたりをしているうちに、ローションに混じって俺の先走りも溢れて、にちゃねちゃと卑猥な音がする。
 ようやく穴に触れてぐりぐりと押し付けると、ぴたりと吸いついた。
「お、いけるいける」
「ふざけ、あ、ひぃああ!」
 ぺちぺちと本当に軽く尻たぶを叩いてからかいながら、一気に突きいれた。一気にと言っても、やっぱり慣らしていないから、ちょっとした突っかかりはあったものの、一番太い部分を越えれば、あとは少し力を入れて腰を進めるだけでずぷずぷと入っていく。臨也が血を吐くような悲鳴を上げた。
 ズボンを脱がさずに後ろの穴だけで繋がっているため、セックスをしているというよりそこから俺が生えているように見えて、シュールな光景に思わず笑う。臨也はそれどころではないらしい。がくがくと足を震わせて、必死に身体を支えていた。
「ひっ、ぐ、うー……」
「なあ臨也」
「…な、に…あ、いた…ふぅっ!」
 ぬち、ぬち、と軽く揺すりながら名前を呼ぶと、揺すられるリズムどおりに声を上げながら臨也が律義に返事をしてくる。
 こいつは嫌々いうくせに、一旦挿入してやればすぐに従順になるのだ。
 差し込んだものを上下に揺すりながら、中の感覚を堪能する。ざわざわと内壁が絡みついて気持ちがいい。
「切れたか?」
「…ぁ、う…?」
 俺の期待に弾んだ声に気づいていないらしい臨也は、ぼんやりした目で俺を肩越しに振り返り、唇を噛みしめながらこくりと頷いた。頷いてから、ぶわっと溢れだした涙がはらはらとこぼれて、シーツにしみを作った。ひっく、と喉を引きつらせて、表情を隠すように涙で濡れたシーツに顔を埋めた。
「ッ、き、れた…痛い。……や、やさしく、して……う…っ」
 涙の理由は悔し泣きだ。殺し合いばかりしていた仇敵に、優しくしてくれと、優しく犯してくれと請う屈辱とはいかほどのものか。
 臨也に縋る自分を想像してみたら吐き気を催したので、すぐに打ち消した。こいつにとっては現実だったが、俺はそうなるくらいなら死にたいと思った。それでもなお生きているこいつの往生際の悪さが、鼻で笑ってやりたくなるぐらい可愛いと思う。
「仕方ねえな」
「あ、あ!」
 雁首あたりまで抜くと、そこで幹を数度扱いてとりあえず浅い部分に中に一発出してから、完全に抜き去った。
 一週間分溜まっていたので、一度ヌいておかなければ、俺がもたないのだ。
 臨也は悔しげにシーツを握りしめていたが、気力もないのかぐったりと横たわったまま、浅い呼吸を繰り返していた。
 白濁でズボンの穴周辺が汚れてしまっている。破れ目に指を引っ掛けて、左右に引っ張るとビキビキと鈍い音を立てながら、ズボンはあっという間に尻の部分から二つに割れた。
 まあるい尻が見えるまでに大きく開くと、今度はそのひと際白い肉を左右に開いた。くっぱりと肉襞が口を開け、赤く充血しきった内壁がめくれ上がっているのが分かる。
 とろりと溢れてくる白濁は俺の出したもので、尻たぶを掴んだ指を伸ばして、中に差し入れる。臨也がビクンと震えた。
「う…っ」
「まじで切れてんな」
「そう、言った…ァ、見るな…よ…」
 溢れる白濁に混ざって、薄く色づいた液体が落ちてくる。赤いそれは、間違いなく血だった。入口も裂傷になっていたが、奥のほうも切れているらしい。二本の指をさしこんで開いてみたが、よくわからない。
 空気にさらされて、ひくんと蠕動する内部がすげぇエロい。一度出したにも関わらず、俺のものは再び勃起していた。
「あー…なんだっけか。ケツの穴から差し込んで身体ン中見るカメラ。あれ、新羅に今度借りようか」
 襞をくにくにと指先で刺激してぷちゅぷちゅと薄く色づいた白濁を少しずつ胎内から追い出しながら、その奥にある傷が見たくて目を凝らす。
 視線を感じるのだろう。シーツを握りしめた手に力がこもり、食いしばった歯がかちりと鳴った。当然、内部も力が加わるらしくて、中の動きで自然と白い液体が溢れてきた。
「…な、いしきょうとか…っ、マニアックすぎ…AV見てろよ童貞病っ」
 ああ、内視鏡だ。そんな名前だった。流石、知識だけはある臨也だ。よく知っている。よし、今度新羅に借りれるか聞いてみよう。
 教えてくれたのは助かるが、無駄口を叩かれるのは五月蠅い。
「黙ってろよ、手前だって淫乱の癖に」
「ちが、あ、ひっ、あ!」
 悪態には悪態で返し、ひくひくと開閉を繰り返す真っ赤な肉の穴をべろりと舐めた。自分の精液の味がして気持ち悪いことこの上なかったが、それよりも俺のものを咥えたときのように、きゅうきゅうと締め付けてくるのが気持ちよくて夢中になった。
 臨也の内臓を犯しているのだ、と思うと、口の中に唾液が湧いてきてそれを塗り込んだ。
「やあっ、ア、ぁ、やだ!それやだぁ!」
 じゅるりと音を立てて吸い上げると、細すぎる腰がビクンとはねる。ツッコんだ舌でぐにぐにと浅い部分をかき混ぜると、臨也はシーツに顔を突っ伏して首を横に振りながら必死に耐えていた。やだやだ、と繰り返す割に、舌を締め付ける中の動きは確実に喜んでいる。
「やめ、て、おねがい、」
「俺は気持ちいい。もっと締めろ。ガバガバになってんぞ」
「ッし、ね…っや、ひぁ、ああぅ!」
 臨也は口では嘘しか言わないので、正直な部分がここしかない。俺は臨也の言葉など何一つまともに聞く気はないが、正直に語りかけてくるこの身体には、存分に答えてやろうと思っていた。
 満足するまで舐めつくすと、臨也はトンでしまったのか、子どものようにヒクヒクと肩を震わせて泣いていた。俺が掴んでいなければ、膝を立てていることもできなかっただろう。ピクンと内腿が痙攣している。
「勝手にイッてんじゃねえよ」
 穴にギンギンに勃起したそれを押し当てる。さっきよりもズボンの穴も大きいので、照準は楽に合わせられた。臨也は首を横に振ったが、それが拒絶の意なのかただの反射なのか分からない。興味も、ない。
 押し当てた先端に力を入れると、ぬぷんと粘着質な音を立てて、ゴムのように伸縮した穴の中に俺のものは吸い込まれていった。
「ひぃいううっ!」
 きゅうう、と内壁が絡みついてくる。さっきより、断然具合がよかった。
 さっきは浅い部分にだしてしまったので、今度は一番奥で出そうと決めている。柔い腰を掴んで、俺は上から突き刺すように腰を振った。パンッと腰骨と尻のあたる音が響いた。
 水っぽい音がして、穴はみっちり隙間なく広がっているのに、それでも俺と臨也の繋がりきらなかった部分から、精液が噴き出される。
「ああっ」
 内側の壁をつきあげたり、回転を加えてみたりと、自分のいいように遊びながら抜き差しを繰り返していると、めくれあがった襞からぽたりと赤い滴が落ちた。
 ぞわりと背筋を駆け抜けるものは、快感以外の何物でもない。
「あ、ああ! いたい…ッや、んぅっ」
 最奥を突いて、ぎりぎりまで抜き取る。ぬろぉっと白濁と薄紅の膜を張ったみたいな俺のものが臨也の中から出てきて、また沈んでいく。こいつを串刺しにしているようで、愉快な光景だった。
「あー…たまんね…っ」
「い、あ、うううう…ッッ」
 俺の息も荒くなり興奮するままに思わず零すと、きゅうっと穴の入口のあたりに力がこもって、締め付けてきた。ぎちりとゴムで締められるような強い刺激に、俺はぐっと奥歯を噛みしめた。
 我慢をする理由などはないが、俺はもっとイイ瞬間を知っているので、待ちわびているのだ。
「締めんじゃねえよ。おら!」
「んぐッ!」
 穴を軸に、俺のもので持ち上げるように突き上げた。臨也の四つ這いになった膝が一瞬浮いて、首を盛大に振った。
 気がつけば、悪態をつく元気もないようだ。揺すられるままに声をあげて、シーツを握りしめるだけでいっぱいいっぱいなのだ。
(ああ、死んだな)
 俺は汗の伝った頬が歪むのを感じた。笑いがこみ上げる。
 このノミ蟲のような、否、ノミ蟲としか言いようのないクソ野郎は、口の先だけで生きているとしか思えない男だった。
 その臨也が言葉を失うことは死んでいるも同然だ。なぜなら、臨也が生きている限り消えることのないはずの殺意が、奴の穴に自身を埋めている間は入る余地などないほどに、別の感情で胸のうちを満たしているのだ。
 気持ちよくて、楽しくて、愉快で、そこに負の感情は一切ない。
―――殺しているみたいだ。
 そう考えたら、臨也の穴に埋めたものがより一層体積を増した。
「うぁ…!」
「一週間分だからな」
 ぐぅ、っと腰を奥まで押しつけて、尻たぶをぎゅうっと握り込んだ。柔らかな肉は、恐らく痣になるだろう。
「あ、はっ…う、やだ、や、や、」
 身動きとれないはずの臨也の身体が、それでも必死にもがいて、それが内側にいる俺のいい刺激になった。
 ごりっと内臓を突き破ってしまうほどの勢いで、抉った。
「っい、ひぃあ、ああ、あああっ!」
 これだ。
 ほとんど悲鳴のような声が迸り、ぎゅううっと内壁が波打つような痙攣と収縮をして、絞り取るように轟く。これを待っていた。そしてピンと頭のてっぺんからつま先まで全身が緊張して、俺の形にぴったりと内壁が吸いついて固まった。
 俺は今度こそ、一番奥へと精を放った。二度目だというのに、先ほどより長い射精だった。
「…っ、…は、っ」
「あー…」
 疲れた。そして、気持ちがいい。ひくひくと未だ呼吸するように口を開閉する穴と、軽く萎えて柔らかくなった俺のものの間に隙間ができて、そこから血の混ざった白濁が、先ほどより勢いよくこぼれて来る。
 ビクンとコートひとつ乱れないままの背中が、何度か痙攣して、大人しくなった。それこそ死んでいるかのように、脱力している。
 ひく、ひく、と浅く荒い呼吸を繰り返す喉が、啜り泣くように震えている。
 精液に満たされた火傷しそうなぬかるみが心地よくて、抜くのが惜しい。穴の周りもローションや俺の精液でぐちゃぐちゃだったが何気なく触れた前も、ズボン越しでもわかるくらいにぐちゃぐちゃに濡れていた。こいつもまたイッたらしい。後ろだけでイケるという神経が分からない。
「ふ、ぅ」
 布地ごと握り込むと鈍く反応する。ぐちゃりと音がして、絞ったら滴りそうだった。
 こいつも結局イッたのかと思うと、面白いような腹立たしいような気持ちが半々だ。俺は俺がヨクなるために、そしてこいつを殺す目的で犯したのであって、こいつを悦ばせる意図など全くなかったのだ。
 けれど、そんな凶悪な意思にも感じるところは、純粋にかわいいとも思うのも事実だった。胸糞悪いはずの感情が、心地いい。
「あー…なんだこれ、」
 なんだ、この感情。
 繋がったまま臨也の背中に胸を押し付けるように身体を寄せて、俺は大きく息をついた。
もふもふしたコートのフードが邪魔くさい。
 まだまだ満足などしていなかったし、恐らく臨也が生きている限り満足などしない。
 かつて俺が、こいつを殺したいと思っていたように、こいつが死ぬまで毎日毎日俺を苛み続ける、性質の悪い欲望なのだ。
 再び穴の中で俺のものは硬度を取り戻し始めていて、それに気付かないわけがない臨也の背中が、ひくんと震えた。
 あれだけ擦り上げた内壁はそれでもきゅうっとしっかり締め付けてくる。
 あまりの気持ちよさに、息を乱されて俺は動き出した。流石に二度も吐き出しているので、動きはゆっくりと、味わうように中の精液をかき混ぜる。
「―――っ」
 ひゅっと息をのみながらも、声は出なかった。
 ちゅぷんちゅぷんとたゆたうような音が結合部から響く。母親の腹ン中に帰ったような穏やかさに、脳内がじんと痺れた。
「あー…いい、好きだ……」
 思わず吐露すると、臨也の穴がさらに締め付けてきた。それが気持ちよかったので、もう一度、今度は耳元で囁く。
 そうして律動しているうちに、臨也の声は甘ったるくとろけ初めて、穴の中も味なんかしないはずなのに甘くなってきて、俺は夢中になった。
 すすり泣くように喘ぐ臨也が「俺も好きだったのに」と小さく呟くのを聞いて、俺はたまらずまた射精した。





END

シズちゃんのオナホ。穴がゲシュタルト崩壊起こしそう。

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